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メトホルミン(メトグルコ®)とは?

60年以上使われ続ける2型糖尿病のスタンダード。肝臓での糖新生抑制と末梢組織のインスリン感受性↑で低血糖リスク少なく血糖を改善します。

目次

1. 特徴

  • 分類: ビグアナイド系経口血糖降下薬
  • 剤形: 250 mg/500 mg 錠・徐放錠 (XR)
  • 体重影響: ほぼ中立〜減量効果
  • 低血糖リスク: 単剤ではほぼゼロ

2. 作用機序

肝臓AMPKを活性化 → 糖新生↓、末梢グルコース取り込み↑。
腸管GLP-1分泌↑や腸内細菌叢改善も報告。

メトホルミンの作用機序
メトホルミン(メトグルコ®)とは? 2

3. 用量と服用方法

開始量目標量最大量
500 mg 1日1回 (夕食後)750–1000 mg 1日2回2250 mg/日
  • 胃腸症状が出たら食直後服用という方法も有効な報告があります。

4. 実臨床での代表的使用シチュエーションや海外でのデータでの報告

#ケース使う理由補足
1肥満を有する2型糖尿病の第一選択体重増なし・心血管リスク↓ (UKPDS34)500 mg→1–2週で増量
2プレ糖尿病(IFG/IGT)DPP 研究で発症リスク31%減BMI≥35なら推奨(海外)
3多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS)排卵率↑・テストステロン↓1500 mg/日を目安(海外)
4非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) 合併肝脂肪減少&ALT低下報告食後血糖優位なら選択
5SGLT2阻害薬追加前のベース薬併用で腎・心アウトカムさらに改善 (EMPA-REG subgroup)eGFR≥45で維持可

5. 副作用と対策

副作用頻度対策
下痢・腹部膨満15 %XR錠へ変更/漸増投与
ビタミンB12欠乏7 %年1採血+サプリ補充
乳酸アシドーシス<0.1/1000人年eGFR<30で中止/脱水時休薬

6. 飲み合わせ・注意点

  • eGFR 45–59 → 最大1000 mg/日、<30 禁忌
  • 造影CT前後48 h休薬
  • アルコール過量で乳酸↑→節酒指導

7. よくある質問

メトホルミンはいつ飲むのがベスト?

夕食後。食後血糖が高い人は朝夕分割。処方箋の通りに内服しましょう。


低血糖は起こりますか?

単剤では少ないです。SU剤やインスリン併用時は注意度が上がります。年齢によってもリスクは変わります。

飲み忘れたら?

気付いた時点で4時間以内なら服用。

乳酸アシドーシスが怖いです…

腎機能 eGFR<30、脱水、高度感染で起こり得えます→休薬ルールを主治医と決めましょう。

飲酒はどこまで?

控えるほうがよいです。過量で乳酸↑リスク。日本酒1合/ビール中瓶1本程度以上は特に避けたほうがよいです。

メトホルミンとビタミンB₁₂欠乏を教えてください。

長期服用でB₁₂吸収↓となり→貧血・末梢神経障害となる場合があります。

サプリは一緒に飲める?

大抵OKです。B群サプリはむしろ推奨。


下痢が治まらない…

①分割服用②用量減の順で調整。

造影CTがある日は?

受診前に医師へ申告→造影前後48時間休薬。

どのくらいでHbA1cが下がる?

8〜12週間で0.8〜1.5%低下が平均。体重減も併行すると大きく改善することがあります。

8. 参考文献

  1. UKPDS Group. Effect of intensive blood-glucose control… Lancet. 1998.
  2. DPP Research Group. Reduction in the incidence of type 2 diabetes… N Engl J Med. 2002.
  3. ADA. Standards of Care in Diabetes 2024.
  4. Legro RS et al. Metformin and infertility in PCOS. N Engl J Med. 2007.
  5. Drake MT et al. Metformin & NAFLD review. Hepatology. 2019.

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この記事を書いた人

日本内科学会:内科専門医
日本腎臓学会:腎臓専門医
日本リウマチ学会:リウマチ専門医
日本リハビリテーション学会:リハビリ専門医

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