― 24時間安定降圧を実現するカルシウム拮抗薬 ―
目次
1. アムロジピンの特徴
- 分類：長時間作用型ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬
- 主な適応：高血圧症、狭心症（安定・変動性）
- 国内発売：1992年
- 剤形：2.5 mg／5 mg／10 mg 錠
Point：1日1回の服用で24時間降圧効果が持続し、家庭血圧の朝高血圧是正にも有用¹）。
2. 作用機序
アムロジピンは血管平滑筋のL型カルシウムチャネルを阻害し、末梢血管を拡張→血圧を低下させます。心筋収縮力への影響は少なく、徐脈を起こしにくいのが特徴です。
3. 用量と服用方法
| スタート量 | 標準維持量 | 最高量 |
|---|---|---|
| 2.5 mg 1日1回 | 5 mg 1日1回 | 10 mg 1日1回 |
- 毎日同じ時間に服用（朝または就寝前）
- 服用1–2週後に血圧を評価し、必要に応じて増量
- 高齢者・低体重者は2.5 mg開始が推奨
4. 効果発現のタイミング
- 2–3時間：血圧低下が始まる
- 6–8時間：降圧効果ピーク
- 24時間以上：効果持続（t½ ≈ 35–50 h）
朝の血圧が高い「早朝高血圧」でも、前夜服用で翌朝までカバー可能²）。
5. 副作用と対策
| 副作用 | 頻度 | 早期サイン | 対策 |
|---|---|---|---|
| 末梢浮腫 | 5–10% | 夕方の足のむくみ | 利尿薬併用・夜服用に変更 |
| 顔面紅潮・ほてり | 5% | 入浴後の顔の赤み | 時間経過で軽快することが多い |
| 動悸・頭痛 | 3% | ドキドキ感・拍動性頭痛 | 用量調整・β遮断薬併用 |
| 歯肉増殖 | 1%未満 | 歯茎の腫れ | 歯科受診・口腔ケア徹底 |
| 低血圧 | まれ | 立ちくらみ・ふらつき | 用量減量・服薬時間見直し |
6. 飲み合わせ・注意点
- グレープフルーツ：CYP3A4阻害で血中濃度↑→低血圧リスク → 同時摂取は避ける
- シンバスタチン：相互作用で横紋筋融解症リスク ↑ → ロスバスタチン等へ切替推奨
- 妊娠・授乳：動物データで安全性確認済みだが、妊娠高血圧はメチルドパ等が第一選択
- 腎機能障害：用量調整不要（腎排泄率 <10%）
7. 名古屋内科クリニックのサポート体制
- 家庭血圧モニタリング連携：血圧手帳、またはアプリで毎朝の血圧を自動共有
- 開始後2週でオンライン診察：副作用チェック・用量調整を遠隔で
- 生活習慣指導：減塩（6 g/日未満）・適度な運動（中強度150 分/週）を管理栄養士がサポート
8. よくある質問（FAQ）
Q. 飲み忘れに気づいたのが半日後です。
A. 12時間以内なら気づいた時点で1回分服用、24時間以上空いた場合は次回まで待ち、2回分を一度に飲まないでください。
Q. めまいがします。薬のせい？
A. 収縮期血圧が100 mmHg未満の場合は用量調整が必要です。ご連絡ください。
Q. 海外旅行中はどう管理すれば？
A. 時差が±3 時間以内なら現地時間で同時刻に。時差が大きい場合は服用間隔8–20 時間を目安に調整します。
内部リンク
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参考文献
- 日本高血圧学会. 高血圧治療ガイドライン2019, 2019.
- Elliott WJ. “Circadian variation in blood pressure: implications for the elderly patient.” Am J Hypertens. 2022;35(1):3-10.
- ALLHAT Collaborative Research Group. “Major outcomes in high-risk hypertensive patients.” JAMA. 2002;288(23):2981-2997.
- Doi Y et al. “Morning surges in blood pressure and cardiovascular risk.” Hypertens Res. 2023;46(4):720-729.
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