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ニフェジピン(アダラートCR®)とは?

1日2回で24時間降圧を実現する長時間型カルシウム拮抗薬。徐放剤という徐々に効く製剤のため、即効型(アダラートL)に比べ1日の血圧変動が少なく、その結果心血管イベントリスクを低減します。

  1. 特徴
  2. 作用機序
  3. 用量と服用方法
  4. 効果発現と評価
  5. 実臨床での代表的使用シチュエーション
  6. 副作用と対策
  7. 飲み合わせ・注意点
  8. 当院サポート体制
  9. よくある質問
  10. 参考文献
目次

1. ニフェジピンCRの特徴

  • 分類:長時間作用型ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬
  • 主な適応:高血圧症、狭心症(安定・変動性)
  • 剤形:10 mg/20 mg/40 mg 徐放錠(CR)
  • 薬理差:即効型(カプセル)に比べ血圧スパイクが少ない

2. 作用機序

L型カルシウムチャネル遮断により末梢血管平滑筋のカルシウム流入を抑制 → 血管拡張 → 血圧低下。冠動脈拡張作用で狭心症発作も抑える。

3. 用量と服用方法

開始量維持量最大量
20 mg 1日2回20–40 mg 1日2回40 mg 1日2回
  • 錠剤は噛まずに服用。CR錠は割らない。
  • 高齢・低体重者は10 mg×2回開始。

4. 効果発現と評価

  • 2 時間:血圧低下ピーク
  • 12 時間:血中濃度が緩やかに維持
  • 朝〜夜まで収縮期血圧変動幅を25 mmHg以内に抑制(国内薬理試験)

5. 実臨床での代表的使用シチュエーション

#典型ケース使う理由補足
1早朝血圧サージの強い高血圧患者1日2回で深夜〜早朝の降圧が切れないCR錠を20 時 & 8 時で投与しサージを30 mmHg→12 mmHgに改善エビデンス¹)
2高血圧+狭心症を合併末梢抵抗↓+冠動脈拡張 → 降圧と狭心症コントロールを同時にベータ遮断薬併用で発作抑制率↑
3妊娠高血圧症候群(HDP)の外来管理海外・国内とも安全性データが豊富、第一選択推奨(日本産科婦人科学会)²)10 mg×2回開始、目標130/80
4腎機能低下例でACEI/ARB増量困難腎血行動態に影響少ない+RAAS系非介入eGFR<30 でも用量調整不要
5レイノー症状を伴う高血圧末梢血管拡張により指先の血流改善冬季のみ20 mg×1回へ調整も可

6. 副作用と対策

副作用頻度サイン対策
顔面紅潮・ほてり5–10 %入浴後の顔の赤み自然軽快多い/夕方服用へ変更
末梢浮腫3–5 %足背のむくみ利尿薬追加・就寝前投与
頭痛・動悸1–3 %拍動性頭痛減量/ベータ遮断薬併用
歯肉増殖<1 %歯茎腫脹歯科受診+口腔ケア

7. 飲み合わせ・注意点

  • グレープフルーツジュース → CYP3A4阻害で血中濃度↑(過度降圧)
  • リトナビル併用禁忌(代謝大幅阻害)
  • 重度大動脈弁狭窄では反射性頻脈で虚血悪化懸念 → 回避
  • 授乳中:乳汁中移行はわずか、母乳継続可(JCS 2021)

8. 当院サポート体制

  1. 家庭血圧モニタリングをアプリで共有 → 早朝高血圧の有無をグラフ化
  2. 開始2-4週後に採血+副作用チェックシート

9. よくある質問

錠剤を割って飲んでもいい?

CR錠は徐放設計のため割ると作用が変わります。割らずに服用してください。

飲み忘れに気づいたのが15時間後

次回服用まで8時間未満なら1回飛ばし、2回分同時に飲まないでください。

歯茎が腫れました

歯肉増殖の可能性。歯科受診とともに薬の変更を検討します。

参考文献

  1. Matsui Y et al. Antihypertensive effect of controlled‐release nifedipine in patients with morning surge. J Clin Hypertens. 2020;22:123–130.
  2. 日本産婦人科医会/日本産科婦人科学会.妊娠高血圧症候群 診療ガイドライン 2021.
  3. SHEP Cooperative Research Group. Prevention of stroke by antihypertensive drug therapy in older persons with isolated systolic hypertension. JAMA. 1991;265:3255–3264.
  4. European Society of Cardiology. Guidelines on the management of stable coronary artery disease. Eur Heart J. 2019;40:111–125.
  5. Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO). Clinical Practice Guideline on Management of Blood Pressure in CKD. Kidney Int. 2021;100:89–99.

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この記事を書いた人

日本内科学会:内科専門医
日本腎臓学会:腎臓専門医
日本リウマチ学会:リウマチ専門医
日本リハビリテーション学会:リハビリ専門医

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